| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P3-277

関東地方の道路沿いにおける遺伝子組換えセイヨウアブラナの生育状況

西沢徹(国立環境研),*中嶋信美(国立環境研),玉置雅紀(国立環境研),青野光子(国立環境研),久保明弘(国立環境研),佐治光(国立環境研)

当研究室では,2005年度から2007年度にかけて,千葉県香取市〜成田市までの国道51号線沿い(約20km)でセイヨウアブラナ(Brassica napus)の生育状況をモニタリングしている。当該国道沿いでは,既に除草剤耐性形質を付与された遺伝子組換え(GM)セイヨウアブラナの逸出を確認することができた。日本国内では,GMセイヨウアブラナの商業栽培は行われていないことから,国道51号線沿いで生育が確認されたGMセイヨウアブラナは,鹿島港で陸揚げされた輸入ナタネ(セイヨウアブラナの種子)が輸送中にこぼれ落ち,それらが発芽した個体であると考えられている。本発表では,国道51号線沿いの同一区間において,セイヨウアブラナの全数調査を3年間にわたって行った結果について報告する。この区間における2005年度と2006年度のセイヨウアブラナの生育地点はそれぞれ1147,1336地点であったが,2007年度は256地点に減少した。そのうち遺伝子組換え体であるグリホサート耐性個体は,2005年度から2007年度の3年間で,それぞれ26個体,8個体,5個体が確認された。一方,2005年度にはグルホシネート耐性個体も9個体確認されたが,2006年度と2007年度には全く確認できなかった。GMセイヨウアブラナの個体数はこの3年間減少傾向が続いている。さらに2007年度には,生育していたセイヨウアブラナの個体数も著しく減少した。個体数減少の原因は明らかになっていないが,「種子運搬時の梱包の徹底」,「道路のアスファルト更新工事の影響」,「暖冬による種子の春化不十分」などの影響が考えられる。

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