| 要旨トップ | | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P3-304
植生活力度は、蒸散や光合成活動と関係しており、生態系のエネルギー収支や水収支の評価に必要な変数の1つである。これまで、リモートセンシングの分野において植生活力度は、赤バンドと近赤外バンドを利用した正規化差分植生指数(NDVI)や、その他の植生指数により評価されることが多かった。しかし、近年、数バンドのマルチスペクトルセンサーに代わり、数百バンドを計測できる航空機や衛星登載のハイパースペクトルセンサーが普及しつつある。このセンサーを用いれば、従来の植生指数と比較して、高い精度で樹木の活力度を評価できる可能性がある。
これまで発表者らは、コナラ属2種の樹冠レベルの渇水ストレスを、ハイパースペクトルデータから得られる微分スペクトルから推定することを提案し、レッドエッジよりも高い精度でコナラ属の樹木の活力度(渇水ストレス)を推定できることを示した。
本研究では、緑化工学的な視点も取り入れ、日本の春を印象づけ、人々に最も馴染みの深い花木であるサクラ類のうち、ソメイヨシノ(Cerasus ×yedoensis ‘Somei-yoshino’)とヤマザクラ(Cerasus jamasakura var. jamasakura)を取り上げる。京都市内の緑地3ヶ所(哲学の道、円山公園、山科疎水)において、6月から10月にかけて約3週間から1ヶ月おきに計6回、携帯型ハイパースペクトルセンサーを用いて、ソメイヨシノおよびヤマザクラの葉の反射スペクトルの計測を行った。本発表では、葉の反射スペクトルの季節的変化の追跡結果と、植生活力度の評価に最適である時期や指標等についての検討結果について報告を行う。