| 要旨トップ | | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P3-306
都市内環境において種多様性に配慮したコリドーを整備するための要件を検討することを目的とし、チョウ類成体を指標として、種組成と緑地を連結する緑道の環境条件との関連性について分析を行った。種の供給源となる都市公園および残存樹林と樹林間を連結する緑道が一体的に整備された港北ニュータウン(横浜市都筑区)を対象として、緑道部(コリドー環境)および非緑道市街地内(マトリクス環境)に200m区間のルート区分を80設定した。生息チョウ類の種相は、各ルート区分および近接する緑地を巡るラインセンサス(対象地を4回調査)により生息種および個体数を調査した。一方、各ルート区分の立地条件として、最近接緑地または連結端部緑地からの距離,最近接緑地における確認種数,ルート区分周辺の植生タイプ割合を、植生条件として、ルート区分における樹木植被率(落葉・常緑),低木・草本層の階層別植被率(多様度),樹木群-草地隣接長,特定チョウ類幼虫の食草の有無を、現地調査およびGISにより算出した。分析として、まず、ルート区分ごとの種組成についてTWINSPANにより種群を分類し、種組成の幅に影響すると考えられる樹林性チョウ類・林縁性チョウ類の出現の有無にもとづいて、各ルート区分の種組成のタイプを類型化した。これをもとに、種組成のタイプを目的変数、ルート区分の立地条件・植生条件の各変数を説明変数として、CART(分類回帰木)および主成分分析によって、種タイプの幅に関連性のある環境条件を分析した結果、低木・草本層植被率,隣接長等の植生条件が主要因として抽出され、副次的に立地条件が作用した。得られたモデルは、都市内のマトリクス環境の立地に応じたコリドー創出効果のポテンシャル推定に展開することが可能と考えられる。