| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P3-308

河川における水質と流域植物の関係-境川を事例として-

*三浦佳林,藤原一繪(横浜国大・院・環境情報)

生活環境に密着している河川流域において、窒素・リン等の栄養塩類の流入による富栄養化等の水質汚濁が問題視されている。また、護岸整備事業が及ぼす植生と水質の変動も懸念されている。河川に流域においては水質及び植生の各々の調査は各地域で行われ報告されているが、河川水・土壌・植物を総合的な知見での見解は示されていない。そこで、本研究では東京都町田市を源に発し、相模湾に注ぐ全長69km流域面積211km2の二級河川であり、下水道計画の遅れ等のよる生活排水の流入によって富栄養化による汚染河川となった経緯を持つ境川を調査地と定め、〈上流〉境川源流付近、中流部〈寿橋〉東京都町田市寿橋付近・〈北部〉神奈川県大和市北部下水処理場周辺・〈中部〉中部水質管理場周辺、〈俣野〉神奈川県横浜市戸塚区俣野橋付近〈下流〉神奈川県藤沢市藤沢橋付近を調査地点とした。寿橋・北部・俣野では堆積地であることを考慮し地点から見て上流・中流・下流と3つに分けて採取調査を行った。よって河川水は全12地点、土壌は下流を除き河川水採取と付随する11地点、植物は下流を除く5地点で、春季・夏季・秋季に土・植物試料の採取及び植生調査(1回)、水試料の採取(2回)を行った。分析概要として土壌では、pH・EC・全窒素・硝酸態、亜硝酸態、アンモニア態、有機態窒素及び全リン・可給態リンに関する濃度、河川水では前述の土壌分析項目にCOD・DOを加え、可給態リンにかわり正リン酸態リンに関する濃度、植物では硝酸態窒素・全窒素・全リン濃度を分析した。これにより河川水・土壌・植物体の各々の富栄養化に関わる成分の分析結果から、河川水と土壌の環境影響を推定し、また植生調査による河川流域に環境適応している植物を推定することから河川水と土壌の影響と流域植物との関係性を明らかにすることを目的とする。

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