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シンポジウム S03-7
外来種管理・防除に関する経済学は、近年、急速に注目を集めているものの、未だに研究されていない課題が多く残されている。特に難しい問題点は、様々な不確実性に起因するリスクが存在する場合において、外来種の完全排除を目指すべきかどうかに関する決定方法にある。こうした点は、経済学の一分野である資源経済学の再生可能資源利用(漁業管理など)の分析には想定されていない外来種防除特有の課題である。本報告では、資源経済学の理論に従い、外来種防除における経済費用便益の算出手法を紹介した上で、様々なリスクが介在する状況下での防除手法とその論拠を議論する。本報告での重要なキーワードは「経済割引率」と「防除(捕獲)効率」であり、これらの二つの概念を基に、社会的に望ましい防除対策がどのようなものであるか、説明する。最後に、導出された防除対策を実行するために、状況に応じてどのような予算調達が考えられうるのかを考察する。