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企画集会 T04-5
DNAバーコーディングでは,未同定標本のDNAバーコードと専門家によって同定された証拠標本のそれとを比較し,最も類似するバーコードに対応した種名を同定結果として提示する.この手法の実用化には,網羅的なバーコードデータベースと検索システムから構成される同定支援システムが必要である.現在,Barcode of Life Data Systems(BOLD)によって公開されているシステムが使用されているが,バーコーディングの実効性を高めるためには,ユーザーの様々な要望に対応可能なシステムが必要不可欠である.我が国では,日本におけるバーコーディング関連の活動拠点として「日本バーコードオブライフ・イニシアティブ(JBOLI)」が設立準備中であり,その中で,発表者はバーコードおよび証拠標本情報の保管と活用を目的とするシステム「JBOLI-DS」の構築を進めている.このシステムは,塩基配列および証拠標本データベースを基幹システムとしており,JBOLIウェブサイトを通じて,三つのコンテンツ(同定支援システム,証拠標本閲覧システム,データ管理システム)が日英二カ国語で提供される.同定支援システムと証拠標本閲覧システムは一般公開され,誰もが自由に利用できる.一方,データ管理システムはデータの登録・修正・削除を行うためのもので,ユーザー登録が必要だが,登録後はユーザー自らが全ての機能を使用できる.各登録データは,一般公開するか非公開にするかを選定できるので,個人的なデータ管理ツールとして活用することも可能である.今後は,DDBJやBOLD等の関連システムとのデータ共有を図るほか,ユーザーの要望に応じて逐次システムを改善していく予定である.また,このシステムは様々な塩基配列情報や標本情報の保存と管理にも使用できるので,将来的には汎用のデータ登録保管システムとしても大きな意味を持つことになると考える.