| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


企画集会 T06-1

格子モデル 生かすも殺すも モデル次第

中丸麻由子(東工大・価値システム)

数理生態学ではモデル仮定のシンプル化のために集団内の個体間相互作用は任意であると仮定することが多く、微分方程式などによる記述が可能となり、解析しやすくなる。一方で、植物のように隣接個体との光や水を巡る競争がその生態系に影響する場合もある。もちろん、局所的相互作用を仮定する必要のない場合もあるが、それによって現実の生態系を上手く記述できることもある。

格子モデルは局所的相互作用に関するモデルの一つであり、碁盤の目上に個体が並んでいると仮定しており、距離が重要な要因となる生態現象を記述するのに便利なモデルである。例えば、隣接個体間の競争・協力といった社会的相互作用、種子散布、動物の生息地移動などである。

格子モデルや他の局所的相互作用モデルを数理モデルやシミュレーションで解析すると同じ結果となる場合もある。が、格子モデル特有の性質のために、他のモデルとは異なる結果も生じる場合もある。これが現実の生態系を上手く表す場合もあるが、格子モデルの特有な性質のために「独特な」結果となることもある。これを見極めながら格子モデルを使うべきである。

本発表では、講演者の格子モデル研究を例に、些細な設定次第で結果が変わってしまう事を紹介したい。まずは、格子モデル上での個体の世代更新方法の違いが、社会的相互作用の進化や生態ダイナミクスに影響を及ぼすことをしめす。また、格子モデルでは個体が単位と仮定したモデルが一般的である。生物によっては個体単位というよりはコロニー単位の場合もある。シンプル化のために個体単位としても、現象の記述に問題のない場合もある。しかし、場合によってはコロニー単位でモデル化する必要がある。発表者のアリに関する研究例をもとに、コロニーベースモデルと個体ベースモデルの格子上での振る舞いの違いを紹介する。

日本生態学会