| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


企画集会 T15-4

認証林と非認証林における野生動物相の比較研究

*小野口剛 (京大院・生態研), 松林尚志 (東農大・地域)

現在、熱帯に生息する哺乳動物の多くは商業林に生息しており、森林管理および伐採方法が彼らに与える影響を把握し、商業林における生物保全を考えることは急務である。私たちは伐採方法の違いが哺乳動物相に及ぼす影響を把握することを目的として、デラマコット森林管理区における野外調査を実施した。まず、森林構造への影響を抑えた低インパクト伐採(RIL)が取り入れられ森林認証を受けている森林区と、従来型の強伐採が行われている非認証森林区でカメラトラップによって非飛翔性の中−大型種の撮影頻度を比較した。さらに、中−大型哺乳動物の餌となる地表性の昆虫や小型脊椎動物の量の違いをピットホールトラップにより調べた。カメラトラップ調査の結果、両森林で記録された全19種のうち、18種はRIL区で観察され、11種は従来型区で観察された。ウンピョウNeofelis nebulosaやマレーグマHelarctos malayanusといった大型の希少種はRIL区でのみ撮影された。ブタオザルMacaca nemestrinaとキョンMuntiacus sp.は、RIL区において有意に高い撮影頻度を示した。これらブタオザルやキョンに加えマメジカTragulus sp.といった果実依存者は、他の雑食者に比べてRIL区で撮影頻度が高い傾向があった。一方ピットホールトラップ調査の結果、地表性の獲物の量は両森林間で類似していた。以上の結果は、低インパクト伐採の導入によって果実食者を中心に中−大型哺乳類の個体数が維持されていること示唆している。

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