| 要旨トップ | | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨 |
企画集会 T15-5
本講演では、熱帯林における森林認証制度のために、中・大型哺乳類の広域モニタリングをどのように行うか、という方法論について検討したい。
FSCによる森林認証の基準においては、木材生産活動が環境の持続性と両立していることが必須となっている。このため、認証獲得は、東南アジア熱帯林の多くを占める木材生産林における生物多様性の維持に寄与しうる。しかし完全な保護区とするのではなく、生産活動を行いながら多様性の維持が図られるためには、継続的なモニタリングとその結果の施業計画へのフィードバックが重要となる。十分なモニタリング体制があれば、地域住民による持続的な利用も可能となるだろう。
マレーシアのサバ・サラワク州では森林の管理単位は通常、数百〜数千km2の面積を持ち、モニタリングはこのような空間スケールで行なう必要がある。しかし、熱帯林域において広域の空間スケールでのモニタリング手法はほとんど確立されておらず、経済的で簡便な調査手法の確立・普及が重要となっている。
我々はデラマコット森林管理区(550km2)において、2つの広域モニタリング手法を試みている。
1)空中からのオランウータンネスト(寝床)数センサス
2)地上設置カメラトラップによる地表性中・大型哺乳類のセンサス
特に調査法2)について先行調査例はほとんどない。
2007年度は小面積区(1.5×2.5km)において多数の自動撮影カメラを設置し、一定面積内の動物相を明らかにするための適切な配置パターンを検討した。2008年度はデラマコット森林管理区全域、約5kmごと20ヶ所に複数のカメラを設置し、継続モニタリングを予定している。