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自由集会 W02

第三弾:陸域生態系におけるリン制限仮説と生物の適応

企画者: 和穎朗太(京大・生態研), 北山兼弘(京大・生態研)

炭素・窒素の循環に比べるとリンについては不明な点が多いが、あらゆる生物の代謝活動に必須なこの元素は、生物群集の組成や生態系機能を規定している可能性がある。多くの陸上生態系においてリンの唯一のソースは岩石であり、また地質学的時間の経過を通してリンは溶脱・不動化する。よって、リン規定の検証には、風化や地質・土壌タイプを考慮する必要があるだろう。

本集会では、まず森林生態系の長期的動態と土壌リンの関係についてレビューし、次に、比較的「若い」地質上に発達する生態系と、風化の進んだ熱帯の「古い」生態系におけるリン制限についての研究を紹介する。また、土壌リンの大半を占める非可給態とされるリンの土壌微生物による再利用の可能性を検討し、さらに最新手法からわかりつつある土壌リンの化学形態についての知見を紹介する。

前回同様、分かり易い発表を心がけ、生態系に関心を持つ幅広い分野の方々の知的交流を促進する集会を目指す。

趣旨説明:(和穎朗太)

総合討論:(司会:和穎)

森林生態系動態とリン制限〜Overview 北山兼弘(京大・生態研)

火山灰土壌に発達した「若い」森林生態系におけるリン制限の可能性と窒素循環への影響〜北海道のカラマツ林を例に 中原治(北大・農)

焼畑による強風化土壌地帯のリン制限の一時的緩和〜ボルネオ島・サラワク州の熱帯雨林生態系を例に 櫻井克年(高知大・農)

土壌鉱物へ吸着されたリン酸の微生物による回収の可能性 和穎朗太・北山兼弘(京大・生態研)

土壌中のリンの化学形態分析〜核磁気共鳴法を用いた新しい方法・知見 平舘俊太郎(農業環境技術研・生物多様性)

日本生態学会