| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨


一般講演(口頭発表) E2-08

高知県四万十川におけるウナギ資源変動

*立川賢一,中島敏男(流域総合研究会)

(目的)ウナギの生活環境が破壊・改変されたり、シラスウナギの乱獲等の影響により、ウナギ資源が減少傾向にあると指摘されている。わが国で本流に河川横断人口構造物が無く、河岸や河床の自然度も比較的高いとされてきた高知県四万十川では、ウナギ漁獲量は変動しながらもほぼ一定水準にあるように思われていた。しかし、四万十川においてもウナギ漁獲量の減少が近年問題視されるようになった。ウナギ漁獲量の推移を辿りながらウナギ資源の減少原因等を検討する。

(方法)解析等に使用した主な漁獲統計資料は、農林水産省農林統計部(漁業・養殖業生産統計年報;1965年〜2006年)、四万十川東部漁業共同組合(内部資料;1957年〜1997年)、および四万十川流域西部漁業協同組合(内部資料;1980年〜2007年)である。

(結果と考察)日本におけるウナギの年間漁獲量は、1969年の最高の3,194トンから、2006年には最低の302トンになり、38年間で90.5%もの大きな減少割合を示した。シラスウナギの採捕量は1969年が最高の174トンであったが、2006年には8トンにまで激減した。四国の4河川で過去の最高漁獲量に対する2006年の漁獲量割合を見ると、吉野川は6.5%、仁淀川は9.2%、肱川は46.9%、そして四万十川は22.7%へといずれも大きく減少した。四万十川の10年単位の平均年漁獲量は、1967年から10年間は75.4トンで、それ以降は73.2トンと82.2トンであったが、1997年以降は減少して43.3トンとなった。四万十川においてもウナギ資源の主な減少原因として、シラスウナギの加入量の減少と共に、河口域の河川改修や支流のダム建設等によるウナギの生活環境への影響を考えなければならない。


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