| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) PA1-004

光、土壌及び森林構造が浅間山山麓コナラ林の下層植生に及ぼす影響

*馬場 俊介(早稲田大・教育), 坂巻 義章(早稲田大・理工総研), 友常 満利(早稲田大・教育), 吉竹 晋平(早稲田大・院・先進理工), 小泉 博(早稲田大・教育)

森林において、下層植生は重要な構成要素である。しかし、森林の研究に関しては林木の研究が主になることが多く、林床植生に関するものは少ない。上層木は光を優先的に奪うこと、落葉、落枝等によって有機物を供給することによって土壌の物理、化学性を変化させ、下層植生に影響を与えると考えられる。本研究では長野県軽井沢町追分の、浅間山麓に存在するコナラを主とする冷温帯広葉樹林において下層植生に対する上層木によるこれらの要因の影響を調査した。

調査地の林内に、30m×100mの方形区を設置し、調査区とした。森林構造の調査として上層木の相対成長関係式を用いた現存量及びマッピングを行った。調査区中に東西方向に100mのラインを取り、それに沿って1m間隔で1m×1m小区画内の林床植生の被度、林床植生上の相対照度、土壌の全炭素(C)、窒素(N)、リン(P)濃度、含水比、有機物量を測定した。さらに稚樹の分布のモデルとしてコナラの木を親木として選び、親木からの距離、相対照度と稚樹密度の関係を調べた。これら結果と下層植生の被度、種構成との関連を見ることにより、光、森林構造、土壌理化学性が下層植生に与える影響を検討した。

その結果、軽井沢の調査林では、相対照度と下層植生の被度とは直接の関連が見られなかった。一方、有機物量と含水量およびCN濃度には相関がみられた。したがって、土壌が浅く、未発達なこの土地では、下層植生に対しての影響は光より有機物の供給の方が大きく作用すると考えられる。


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