| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) PA1-010
北上山地におけるブナ林の落葉落枝量の変動の解明のため,盛岡市毛無森(海抜1427m)のブナが優占する自然林において,風倒木による攪乱前後の落葉落枝量を追跡した.
調査は毛無森の北向き斜面海抜800〜900mに設定した調査区(0.5ha)で行った.2005年10月17日から2008年12月9日までの期間にリタートラップを69個置き, 4週間ないし2週間毎に落下物を回収した.さらに,リタートラップの設置範囲から15mの幅を持たせた0.8haの範囲で胸高直径2cm以上の幹を対象に毎木調査を行った.
毎木調査の結果,幹数ではハウチワカエデとブナが優占し,胸高断面積合計ではブナとミズナラが全体の96%を占めた.
2006年の年落葉量は1.85t/haであり,ブナが1.15t/ha,ミズナラが0.52t/ha,その他の樹種が0.17t/haであった.年落枝量は0.81t/haであった.2005年10月〜11月には落葉量が2.25 t/ha,落枝量は0.17t/haであったのに対し,2006年10月〜11月は落葉量が1.54t/ha ,落枝量は0.47t/ha,2008年には落葉量が2.75t/haあった.櫻井ほか(2008)では2006年と2005年の比較から,風倒木による攪乱以前は当調査区では年間2.87t/ha程度の落葉落枝量があると推定したが,2008年の年落葉量は2.75t/haであり,ブナが1.94t/ha,ミズナラが0.66t/ha,その他の樹種が0.26t/haであったので,攪乱後数年で落葉量が回復したと言える.