| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) PA1-014

美ヶ原高原塩くれ場アースハンモック植生の群落構造及び立地環境との関係

*金子敦志(信州大・農),大窪久美子(信州大・農),藤田淳一(環境アセスメントセンター)

近年、長野県美ヶ原高原塩くれ場(標高約2000m)において構造土の一種であるアースハンモックが報告された(柴田ら, 2005)。アースハンモックは、高緯度の様々な地域から報告があり、高山環境でもしばしば存在するとされる(Grab, 2005)。しかし、中緯度地域では希少であり(Kawasaki, 1979)、本地域のアースハンモックは化石構造土の可能性が高く、微地形として貴重である。また、アースハンモック上の群落構造についての既存の研究は少なく、希少群落への人為的な圧力や近年増加しているニホンジカによる影響が懸念される。そこで本研究では、アースハンモックとハンモックにおける群落構造と立地環境との関係について解明することを目的とした。

調査は美ヶ原高原塩くれ場から南東に走る尾根上のアースハンモックと隣接した対照区の計42箇所で植生調査(2008年8月)を行った。立地環境調査として傾斜方位及び傾斜角、土壌含水率(9月)、積雪量(12月)の測定を行った。

出現種は53種であり、それらの相対積算優占度を用いてTWINSPANを行った。全調査区は主にアースハンモックからなるコケモモ型、ウマスギゴケ型、ヒメスゲ型(以上ハンモック型)と主に対照区からなる群落A、群落B、群落C(以上対照区型)の合計6群落型に分類された。帰化植物率はアースハンモックが対照区に対して低く、種数、積算優占度ともに有意な差があった(カイ2乗検定, p<0.05)。アースハンモックの土壌含水率は対照区より有意に低く (t検定, p<0.01)、積雪量も対照区より有意に少なかった(t検定, p<0.01)。当日の発表では各群落型の休眠型、生育型、繁殖型及びDCAなどをふまえ、群落型と立地環境条件との関係を考察する予定である。


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