| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) PA1-018

内モンゴル・シリンホト草原における管理手段によっての植生変化

李強,藤原一絵(横浜国大・環境情報)

近年中国内モンゴルでは過度の利用による草原の退行が問題となっている。2000年から環境改善のため、内モンゴル自治区は放牧禁止と季節性的放牧などの政策を実施している。牧場の管理方法によって草原の植生はどのように変化するか。2008年7月及び8月にシリンホト市周辺7ヶ所で95の草原植生調査資料を得た。

主として放牧禁止区、刈り取り区と放牧区が調査された。放牧禁止区は30年間及び8年間の放牧禁止区域である。30年間の放牧禁止区は一般に原生草地と中国で呼ばれている。植生調査資料を表操作した結果4群落が認められた(A:Potentilla bifurca群落、B:Chloris virgata- Eragrostis pilosa群落、C:Allium bidentatum-Haplophyllum dauricm群落、D:Stipa grandis群落)。

A群落は30年間の放牧禁止区と80年代から刈り取り区などから構成され、草丈0.6-0.8mともっとも高く、平均18−31種出現する。B群落は平地の放牧地で、一年生植物が50%を占め、草丈は0.06−0.2mと調査地の中もっとも低い。C群落は主に8年間放牧禁止区と2003年から刈り取り区から構成される。D群落は春(6月前)に放牧して8月下旬に刈り取りを行う。平均出現種数はもっとも少なく、8種である。この管理方法は植物へのダメージが大きく多様性の維持ができない。刈り取りは草原の植生に対して影響が少ないが、過度な放牧、特に春放牧は植生に対して影響が大きいことが示された。


日本生態学会