| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) PA1-020
大興安嶺自然林減少の主な要因としては伐採、薪炭、過放牧、火災など人為的な撹乱、降水量の減少とそれに伴った砂漠化の拡大が拍車をかけている。今回報告する大興安嶺山脈の南部地域は気候的に温帯地域に属し、落葉広葉樹林が分布し、海抜が1600mあたりで、わずかに針葉樹林が残っている。大興安嶺地域は東西の気候(湿乾)の交叉する地域で、極地的には残されている自然保護地植物社会学的植生調査資料は、今後の自然再生への指標モデル化を作成し、失われた自然の環境修復手法を提案したい。
そのため、自然林で大興安嶺に分布しているモンゴリナラ林、二次林を構成しているシラカンバ林の群落構成と分布を調査し、土壌、気候等環境要因との関係を解明することが緊急な課題である。2008年6月から9月にかけ、中国内モンゴル大興安嶺南部の自然林が保護されている4つの自然保護区を対象にBraun-Blanquet(1964)及び藤原(1997)による植生調査を行った。大興安嶺南部のモンゴリナラ林はTilia amurensis-Pinetalia koreiensis, Corylo heterophyllae-Querqus mongolicaに属する。Artemisia sylvatica−Querrcus mongolica群落として認められた。南西部に位置するモンゴリナラ林は南斜面に位置し、北斜面にはシラカンバが優先する。
Pologonatum odoratum-Betula platyphyllaの群落が広く発達する。特に、モンゴリナラ林は乾燥し、ヨモギ属、エゾヤマハギが多く出現する。これらの群落と土壌、地形の関係を報告する。