| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) PC2-791

半田山におけるオカダンゴムシの分布とマウント行動の季節的推移

高橋祐衣(岡山大・農)・宮竹貴久(岡山大院・環境・進化生態)

オカダンゴムシArmadillidium vulgare(ワラジムシ目:オカダンゴムシ科)は、ヨーロッパから日本に移入した帰化生物であり、沖縄諸島を除く日本各地の人家周辺や庭先、畑などに生息する。一方、里山には日本在来種のコシビロダンゴムシ類Venezillo sp.が生息する。ダンゴムシ類の分布状況や生活史についての生態学的な研究はほとんどない。

そこで本研究では、岡山市に位置し、アベマキ、コナラ、アラカシが優先樹種である半田山とその周辺地域において、ダンゴムシ類の分布状況の調査を全55ヶ所で行った。その結果、標高が高くなるにしたがってオカダンゴムシの個体数は少なくなり、それに代わってコシビロダンゴムシ類の個体数が多くなった。この結果は、オカダンゴムシが都市適応性を示し、コシビロダンゴムシ類が森林性であるとする先行研究(八巻 2004)の結果を支持する。

このほかオカダンゴムシの繁殖生態、とくに交尾行動の詳細についてはこれまで調べられていない。そこで2008年3月から10月にかけて本種のマウント行動を室内で観察した。マウント行動は4月前半からよく見られ、7月中旬に最も多く観察された。その後、徐々に減少し、9月前半からはほとんど観察されなかった。オカダンゴムシのオスにおけるマウント行動の活性には著しい季節変動があることがわかった。


日本生態学会