| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨


企画集会 T07-1

「偽高山帯」問題の概要

若松伸彦(東京農大)

「偽高山帯」は日本海側地域を中心とした中部から東北地方の亜高山帯域において、針葉樹林帯を欠き、その代わりに落葉低木群落やササ原などが広がる景観のことである。このように「偽高山帯」景観がみられる理由については、多雪環境や冬季季節風など現在の気候環境による直接的な影響が強いと同時に、周辺地域の植生との関係や過去の気候変動に伴う植生変遷などの要因も深く関係している。そのため問題解決には、これら空間と時間軸が異なる様々な事象を総合的に考察していく必要があり、難しい問題である。「偽高山帯」問題は、今後さまざまな植生で起こり得る、気候変動に伴ってどのように植生が変化するかを予測する上で、大きなヒントとなる重要な事象である。まず始めにこれまで「偽高山帯」問題を解決するために、どのような研究アプローチがなされてきたかを趣旨説明とあわせて簡単にレビューする。


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