| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨


企画集会 T23-1

Pseudoreplicationとは?

麻生一枝(成蹊大学・理工)

アメリカ生態学のサンプリング・デザイン、実験デザインに大きな影響を与えたStuart H. Hurlbertの論文:Pseudoreplication and the design of ecological field experiments (1984)が発表されて以来、既に20年以上が過ぎようとしている。この論文は、アメリカ著名生態学者の論文に見られた研究デザインの問題点をも名入りで指摘したためか、最終的にEcological Monographに発表されるまで幾度となくリジェクトされ続けたという履歴をもつ。科学倫理の講義でもしばしば取り上げられている。Hurlbertそして編者の勇気ある決断でついに日の目を見たこの論文は、その後その価値を次第に認められ、今やPseudoreplication(偽反復)の理解は欧米諸国では浸透したようである。その結果、日本人研究者の投稿論文が、偽反復を理由にリジェクトされることも増えてきているように見受けられる。

本講演では、「あらゆるデータに統計的推定は必要か」という統計的考え方の基礎から入り、サンプリングユニット・実験ユニットの独立性とは何か、偽反復とは何か、偽反復にならないサンプリングや実験デザインとはどういうものかを、例を多く用いて解説する。数式は一切提示しない。


日本生態学会