| 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨 |
企画集会 T31-2
一研究者が生態学的現象を広域的に研究するには限界がある。近年、複数の研究者が既存のデータやアイディアを持ち寄り、1週間程度の集中議論を行い、生態学的現象を広域的に解析し理解する、というスタイルが成功を収めている。これらのネットワーク研究の特徴は、予め具体的な仮説や期待される成果を定め、それに賛同する研究者が議論、解析、論文作成を行うという点にある。このような目的志向型のネットワーク研究は、様々な地点で生態学的観測がなされている現在、非常に有効な手段である。しかしながら、日本国内ではまだ盛んではないように思える。本発表では、演者が主催している葉の力学プロジェクトを例に、どのようにネットワーク研究が行われているかを紹介したい。
葉の力学は、葉の多様性を特徴づける性質の1つのみならず、植物-植食者相互作用や落葉分解にも大きな影響を及ぼす。これまで、葉の力学は多くの研究者に様々な方法で測定されてきたが、その測定法に統一基準がなく、研究間の比較も不可能であった。今回のプロジェクトの目的は、葉の力学データを集約し、統一した基準で再解析することにより、葉の力学の世界的傾向を明らかにすることである。このプロジェクトによって、現在2000種を超えるデータが集約され、葉の強度の世界的傾向が明らかになりつつある。