| 要旨トップ | ESJ56 フォーラム 一覧 | | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨 |
フォーラム U05 -- 3月21日12:00-14:00 M会場
企画者らは、野生化ヤギによって大きな変化を受けている尖閣諸島魚釣島の現状を、リモートセンシングの技術を用いて追跡している。イコノスやQuickbird、ALOS(だいち)のような解造度の高い衛星画像が比較的容易に入手できるようになり、そのデータの加工や分析の手法も多様化しているため、以前に比べて様々な、有用な情報がもたらされるようになっている。本フォーラムでは、それらの技術を用いた最新の研究成果を報告する。
しかし、上陸調査の難しい魚釣島の、多くの固有種(モグラであったりサワガニであったりオトギリソウであったりする)の現状を把握するには、そうした手法を用いても、依然として多くの限界が存在している。リモートセンシングの情報を有効に活用するには、その専門家のみでなく、現地の情報や対象となる個々の生物の生活史や生態の知識を持った幅広い研究者の知識を総合することが重要であるため、当日の参加者を含む多くの専門家にご協力いただいて、それらの生物にヤギが及ぼす影響の実態を推定し、より正確な現状の認識と今後の予想を試みたい。リモートセンシングを用いる必然性が高く、哺乳類から顕花植物にいたる様々な分類群におよぶ多くの固有種を擁し、生態系の規模としてはむしろ小規模な魚釣島の例は、そうした検討を行うのに優れたケーススタディとなるであろう。生態学会らしく、幅広い分野や研究対象の方々の参加を期待している。
司会:横畑泰志(富山大院・理工学・生物圏環境)
コメンテーター:横田昌嗣(琉球大・理・海洋自然科学)
趣旨説明/魚釣島のヤギ問題について
ヤギによる植生破壊の現状と変遷
宇宙から見た魚釣島の植生の変動