| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-009

北海道中央部の天然林における林分構造の類型化と森林タイプの分類

*大野泰之(北海道林試)

北海道の森林の多くは、開拓以来、山火事や森林伐採などの撹乱の影響を受けてきたため、発達段階の異なる森林が存在している。これまでに、様々な森林を対象に、林分構造や主要木本植物の種組成が調査されてきたものの、多点の林分データを用いて、林分構造と種組成(森林の群落タイプ)との関係を解析した研究は少ない。本研究では、北海道の道央地域の森林を対象に、林分構造を考慮し、森林の群落タイプの抽出を行った。

森林の群落タイプは林分構造と対応している可能性があるため、群落タイプの抽出に先立って、林分構造の類型化を行った。林分構造の類型化には、1980年代に北海道全域で調査された林分データ(1950林分、面積0.1ha)を利用した。林分ごとに、胸高直径階別(4-22cm、22-40cm、40cm<)の相対胸高断面積(rBA)を算出した後、クラスター分析を行い、3つの林分構造グループに類型化した(大径木グループ、中径木グループ、小径木グループ)。森林群落タイプの抽出は、道央地域の340林分(大径木グループ59林分、中径木グループ165林分、小径木グループ116林分)のデータを用いて行った。林分ごとに樹種ごとのrBAを算出し、構造グループごとにクラスター分析を行った。

ミズナラ、シナノキ、イタヤカエデをそれぞれ優占種とする群落タイプは、すべての構造グループで抽出された。トドマツ、エゾマツをそれぞれ優占種とする群落タイプは、中径木、または大径木グループで抽出され、小径木グループでは確認されなかった。ハンノキ、カンバ類を優占種とする群落タイプは、小径木、中径木グループで検出され、大径木グループでは確認されなかった。このように、林分構造に関係なく出現する群落タイプが認められた一方、特定の構造グループに出現する群落タイプも確認された。


日本生態学会