| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-016

カラマツ一斉林の林齢や密度が個体の直径-樹高関係に与える影響

*滝谷美香(道林試道東)

人工林のような一斉林に成育する個体の樹高成長速度は,土壌や地形,気候などの環境要因に強く影響を受ける。一方,直径成長速度は個体間競争の影響を受け,樹高に比較して個体サイズ分布のばらつきが大きくなる。個体の直径ー樹高関係は,林齢や立木密度に影響を受けると考えられる。

北海道に植栽されたカラマツ人工林2083箇所において測定されたカラマツ個体のデータを元に,カラマツ個体の直径ー樹高に対して,林齢や立木密度,環境要因が与える影響について考察した。また,カラマツ個体の樹高を推定するモデルを検討した。

本研究では,これまでに発表された様々な形の非線形モデルから,拡張相対成長式,Richardsの成長曲線など用い,全個体の直径(cm)ー樹高(m)の関係に対して非線形回帰を行った。各式の当てはまりの良さはAICにより判断した。その結果,Richards式のあてはまりが最も良かった。

Richards式のパラメータに対する林齢(年),立木密度(個体/ha),環境要因の影響を検討するため,ランダムに選択した200林分について,各林分毎に個体の直径ー樹高関係の非線形回帰を行った。環境要因を示す値として,地位指数を用いた。Richards式のパラメータのうち,曲線の最大値を決定するとされている値に対して,地位指数と林齢が正の,林分密度が負の影響を与えていることがわかった。これらの要因をパラメータを表す変数としてRichards式に代入し再計算を行った。その結果,推定される直径ー樹高関係のAICは向上した。特に大個体の推定値が改善された。


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