| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-043

大興安嶺におけるモンゴリナラ萌芽林の林分構造解析

*志栄(横浜国大・院・環境情報),藤原一繪(横浜国大・院・環境情報)

モンゴリナラ(Quercus mongolica)林は落葉広葉樹林の主要な構成種であり,中国東北部,ロシア極東地域,朝鮮半島を中心に,日本の本州の一部に分布している.調査対象地とした大興安嶺南部ではモンゴリナラ自然林が少なく,萌芽林が主要な森林となっている.そこで,土壌を安定化する森林林床植生に着眼し,萌芽林の林冠からの光量,林床植生の相違を解析するため,大興安嶺南部地域の海抜1170から1370mでモンゴリナラ,シラカバ(Betula platyphylla)優占林とモンゴリナラ,チョウセンヤマナラシ(Populus davidiana)優占林に15×15mのプロット4ヶ所を設置し,植物社会学的手法(Braun-Blanquet 1964)による植生タイプ化及び全天写真,毎木調査,樹齢の測定による解析を行った.

その結果,1.2タイプの優占林ともPolygonatum humile-Quercus mongolica群落に属す;2.シラカバではモンゴリナラの萌芽本数の占める割合がチョウセンヤマナラシ優占林より多く,また出現種数も多いが枯死率も多い.萌芽しているモンゴリナラの最大樹齢が約60年で,全体的にDBHは15cm以下が多い;3.チョウセンヤマナラシ林では林冠ギャップが小さく低木が少ない;4.プロット4のシラカバ優占林はギャップが開き,抽出調査したT1,T2層のシラカバの樹齢が18から36年の範囲で,Spiraea pubescensSalix pentandraが低木層に生育している.


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