| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-167

キクイモ、ハンノキ及びブナの葉の光―光合成曲線は相似形である

*小山耕平,菊沢喜八郎(石川県立大)

<1、背景> 光―光合成曲線の形は種によって、また個体上の位置(陽葉・陰葉)によって異なると言われている。例えば、光飽和光合成速度が高いほど光飽和点が高い、等が知られている。実際に陽生草本キクイモ、先駆種ハンノキ、極相種ブナのそれぞれの種で、個体上の様々な位置に存在する葉の光―光合成曲線を実測により求めると、個体上部の葉ほど光飽和光合成速度が高く、より強光域でも光飽和しなかった。

<2、解析と結果> これら異なる光―光合成曲線を、その漸近線の高さを揃えるように縦および横方向に同時に縮小すると、3種から得られた全ての葉の曲線が、正規化された1つの曲線に重なった。つまり、これら全ての曲線は相似であった。ここから、光合成能力の高い葉が、より強光域でも飽和しないのは、この共通の正規化曲線の途中までの領域を見ているからである、と考えられる。

<3、結論> 以上から、最大光合成速度(光飽和光合成速度)は曲線の「全体の大きさ」を意味するパラメーターであり、これは単に光合成速度の潜在的最大値を示すだけではなく、全ての光強度に於ける光合成速度の大きさを意味するパラメーターで有る事を、データにより示す事が出来た。


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