| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-168

葉内二酸化炭素拡散抵抗の制御メカニズム

*藤野貢祐,半場祐子(京都工繊大院・生物資源フ)

光合成を行っているC3植物の葉では、大気中のCO2は気孔を通って葉内へ取り込まれ、葉肉細胞間空隙、葉肉細胞膜などを拡散してRubiscoが存在する葉緑体ストロマへと到達する。近年の研究により、葉の内部には大きなCO2拡散抵抗があり、光合成速度の重要な制限要因になっていることが分かってきた。さらには、葉内でのCO2拡散のし易さである葉内コンダクタンス(gi)は、気孔コンダクタンス(gs)と同等、もしくはそれ以上に光合成に影響を与えることも明らかとなってきた。そこで、今後は光合成の環境応答を調べるにあたって、gsに加えて、giの環境応答や、その際のgiと種々のガス交換パラメーターとの関係性に着目した研究が期待されている。

本研究では植物種としてソラマメとヒマワリを選定し、それぞれについて4種の環境要因を変化させ、giを始め種々のガス交換パラメーターの環境応答について調査を行った。設定した環境要因は、1) 光 (PPFD 1000,500,250 umolm-2 s-1)、2) VPD(800,1500,2000 Pa)、3) ABA(0, 20 uM)、4) [CO2] (200,400,1200 ul CO2 l-1)である。giは炭素安定同位体法(von Caemmerer and Evans 1991)によって求めた。

その結果、ほとんどの場合において光合成速度、gsおよびgiの間には相関が見られたが、VPDを変化させた時にのみ、giはgsと独立して変動するという結果が得られた。この結果はWarren (2008)で示された結果と同様のものであるが、以上のことは環境変化に応答したgiの制御機構の存在を示唆するものである。今後は、制御機構が葉肉細胞間空隙もしくは葉肉細胞膜のどちらに存在するのか、またどのように調節されているのかについて考察を進める予定である。


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