| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-192

兵庫県におけるコナラの豊凶特性―5年間の観測結果から

*藤木大介,坂田宏志,横山真弓(兵庫県大・自然研)

コナラの豊凶リズムとその空間的同調性、豊凶に影響する気象要因を特定するため、兵庫県下約200地点のコナラ林において、5年間にわたるコナラの豊凶の経年観測を行った。観測結果をクラスター分析にかけ、豊凶リズムを類型化した結果、統計的に有意な関連性のみられる豊凶リズムは16タイプ存在していた。また、そのうち上位3タイプは隔年結実性が強いうえ,地点全体の7割を占めていた。L関数を用いた点過程分析を用いて、豊凶タイプ毎にその空間的同調性の有無と程度を調べた結果、上位3タイプに区分される林分は、60-80kmの距離で空間的にまとまって存在していることが示めされた。アメダスの旬別気象データを用いて、豊凶の程度に影響する気象要因を変数選択重回帰分析で探索した結果、前年夏と当年8月上旬の日照時間、当年6月中旬の降水量が豊凶に影響することが示された。これらの結果は、コナラの繁殖生態から見ても妥当な結果であった。8月の日照時間が当年の結実に負の影響を,翌年の結実に正の影響を及ぼすことは、コナラが隔年結実しやすい理由を説明しているかも知れない。


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