| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P2-151

魚にとって堰ってなに!? 

今井千博(京都学園大・バイオ)

本研究の目的は、河川が堰によって分断されることで魚類の分布にどの様な影響があるのかを明らかにする事である。

調査を行った曽我谷川は、京都府亀岡市を流れる延長8.189km・流域面積19.7平方kmの河川である。本河川において渓流部を除く29ヵ所ある堰のうち24ヶ所について、堰と堰との間を1区間とし計23区間(総区間距離6.43km)の魚類分布を調査した。堰の間隔は短い区間で68m、長い区間では506mであった。また、すべての堰において魚道はみられなかった。魚類相についてはタモ網(目合1mm)を用いて、1区間を4回ずつ計92回の魚類採集調査を行った。採集した魚類については、種名、個体数、全長を記録した。

調査の結果、23区画において5科16種、5306個体の魚類が採集された。このうち100個体以上採集された魚種は、カワムツ、ヌマムツ、オイカワ、ムギツク、ドンコ、カワヨシノボリであり、上位3種は(n=5306)、カワムツ44.0%、カワヨシノボリ20.4%、ヌマムツ18.9%であった。各区間での採集個体数、種数の中央値は、採集個体数が227個体(52〜478個体)、種数が9種(5〜11種)であった。堰間の距離と出現した採集個体数、魚種数を比較したが、相関は認められなかった。各区間の採集魚種の上位3種を示すとカワムツ、ヌマムツ、オイカワ、ムギツク、ドンコ、カワヨシノボリの6種であった。このうち、カワムツ、ヌマムツ、カワヨシノボリに関しては、全ての堰間で確認された。オイカワ、タカハヤ、ムギツク、モツゴの4種については、上流の区間にのみタカハヤ、モツゴが見られ、下流の区間にのみオイカワ、ムギツクが見られた。

本発表では、さらに魚種の分布の偏りや稚魚の出現の有無などについて検討する。


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