| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P2-219

侵入タイミングが定着の成否を決める

*山道真人(総研大・生命共生体進化学), 吉田丈人(東大・総合文化, JSTさきがけ),佐々木顕(総研大・生命共生体進化学, JSTさきがけ)

新しい種がある群集に侵入し定着するためには、その種の生態的特徴・在来群集の構造だけでなく、侵入するタイミングが重要である。例えばNamba & Takahashi (1993) は、季節変動などの外生的(exogenous)な要因で強制振動しているLotka - Volterraの競争モデルにおいて、侵入タイミングが定着の成否を決めることを示した。

本発表では、強制振動によらず、内生的(endogenous)な要因でリミットサイクルを示す捕食者 - 被食者系において、同様の現象が観察されたことを報告する。モデルはケモスタット内で培養されるプランクトン群集(ワムシ - クロレラ系)にもとづいて構築し、過去の実験から得られたデータをもとにパラメータを決定した。被食者には、捕食者に食べられやすいが増殖の速い増殖型と、捕食者への防御を持つが増殖の遅い防御型の2タイプがあるとした。

本研究では、捕食者と増殖型被食者からなる在来群集に、防御型被食者が侵入してくるという状況を考える。シミュレーションの結果、防御型が侵入するタイミングによって定着の成否が決まることが明らかになった。捕食者が多い時に侵入した場合には、防御型が有利になり、3者が共存しながらリミットサイクルを示すアトラクターに移行する。一方、捕食者が少ない時に侵入した場合、防御型は不利なので減少し、捕食者と増殖型のみが共存するアトラクターに留まることになる。

以上の結果は、2つのリミットサイクルが双安定であるために起こる。更にパラメータを変化させて系の双安定性を詳細に調べたところ、上記の他にもさまざまな双安定性が発見されたので、加えて報告する。


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