| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P2-280

トキの餌探索パターンとハビタット利用の季節変化

*遠藤千尋(新潟大・自然), 永田尚志(新潟大・超域)

佐渡島で試験放鳥されたトキが野生復帰可能かどうかを判定するには、トキの利用している環境中の餌生物量を把握すると同時に、各環境で何をどれだけ食べているかという情報が必要となる。さらに、潜在的な餌量の評価をするためには、個体(あるいは群れ)の採餌場所選択や餌選択を説明するモデルをつくる必要がある。トキは、主にくちばしの接触による餌の探索を行い、ドジョウ、カエル、昆虫類、ミミズなどを採餌しているが、詳しい採餌生態についてはほとんど情報がない。採餌に利用するハビタットは、水田、あぜ、草地、休耕田などである。このうち、水田は、イネが生育した夏期には利用できなくなるため、生息域内で利用可能なハビタットの潜在面積は季節的に変動する。そこで、利用するハビタットと餌生物の種類の季節変化を解析し、季節ごとにハビタット選択や餌選択が異なるかを検討する。次に、それぞれのハビタットや餌生物によって、餌の探索方法がどのように異なるかを把握するために、採餌ハビタット、餌の種類、探索時間、歩行速度、餌の飲み込み回数から、採餌行動を探索パターンによって細かく分類した。さらに、この探索パターンの出現頻度と時間帯、満腹度(採餌バウトの経過時間)との間に何らかの相関がみられるかどうか、また、どのような時に探索パターン(利用するハビタットや餌の種類)を切り替えているのかを解析した。


日本生態学会