| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P2-283

活動量と擬死行動の遺伝相関

*中山慧, 宮竹貴久 (岡山大・環境学)

擬死行動は対捕食者戦略である (Miyatake et al. 2004) が、これまでの研究で遺伝的に擬死行動を行う傾向が強い個体ほど歩行活動量が低いことが示されている (Miyatake et al. 2008; Nakayama & Miyatake in press)。この事実は室内で長い間飼育されてきたコクヌストモドキ Tribolium castaneum において擬死継続時間の長い方向と短い方向に人為分断選抜を行い確立された擬死をする傾向が高い (擬死頻度が高く継続時間が長い) L系統と傾向が低い (擬死頻度が低く継続時間が短い) S系統の歩行活動量を比較し明らかとなったのだが、このような、一方の形質にのみ直接選抜を行い他方の形質の相関反応を調べるというやり方だけでは注目している両形質間に遺伝相関が存在すると言い切ることはできない。そこで本講演では、歩行活動量に直接選抜を行った際の擬死時間や頻度における相関反応について調べた結果を報告する。また、T. castaneumの個体群を数個採集し、個体群間で擬死時間と活動量を比較することでこの両形質間の相関が実験室内での飼育系統のみで見られた特殊な現象でなく、本種内で普遍的に存在しているのかということについても議論する。


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