| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P2-HS08

カワニナの移動と分布における特徴

*長井祐太, 川島生, 田中啓介, 土井和彦, 平野恵理(岐阜県立岐山高校)

岐山高校近くの用水路には、淡水生巻貝の一種であるカワニナが生息している。カワニナは足を使い匍匐して移動する底生生物である。私たちは、この用水路のカワニナの分布が日ごとに大きく異なることや、用水路の端ほど密度が高いことに興味を抱き、カワニナの移動と分布の特徴について調査した。

まず、用水路(幅150cm)の中央に放したカワニナが、翌日どのように分布するかを調査した。カワニナは放した地点の上流・下流および両側のいずれの方向へも移動していた。移動した場所までの直線距離は平均85cmであった。移動の方向は一定ではなく、移動距離も水路幅の半分に達するほど大きいことが、用水路での分布を変化させる要因であることが示された。

次に、採取したカワニナを水槽に入れ、インターバル撮影により分布の変化を観察した。暗所におくと、水槽の周辺部に分布するカワニナの割合は約70%で一定であった。一方、自然光が当たる場所においたところ、夜明け後、ほぼ全ての個体が水槽の周辺部に分布していた。光が当たることが刺激となり、カワニナは周辺部に移動したと考えられた。現在は、用水路においても同様の現象が見られるか、調査中である。


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