| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P3-061

中部大学「あいち森と緑づくりモデル事業」の概要と活用法

*加藤聡美,鈴木悠介,愛知真木子,南基泰,上野薫(中部大学) 那須守,小田原卓郎,米村惣太郎,横田樹広(清水建設) 鈴木金幸,田中綾子(愛知県)

愛知県は、平成21年度より「山から街まで緑豊かな愛知」の実現を目指し、「あいち森と緑づくり事業」を開始した。本事業は、森林(人工林)の再生、里山林の保全・活用、都市の緑の保全・創出に加え、環境学習等を推進し、持続可能な循環型社会づくりを目指したものである。それに先立ち、平成20年度に「あいち森と緑づくりモデル事業」が尾張東部丘陵地に位置する中部大学キャンパス(愛知県春日井市)で実施された。モデル事業地は、1960年以前は耕作地であったが、校舎建設に不向きな傾斜地であったため、1962年の開学以来放棄され続けた。その結果、森林化が起こり、モデル事業開始時には、シダ類、草本、木本を含めて76種類が確認できる尾張東部丘陵地帯の典型的な代償植生(コナラ群落、アカマツ群落)へと遷移した。また林縁下部に湧水があり、東海丘陵要素植物の一種であるトウカイコモウセンゴケが生育し、アカネズミ等の小型動物も生息している。

このモデル事業地を、市街地近郊に残存する「市街地型里山林」として、「環境教育・研究フィールド」として活用していくための「モニタリング項目」、「管理法」について産学官協働で取組んでいる。モデル事業地は、7区分され、それぞれ異なる間伐整備を行い、生物多様性評価を含めた環境モニタリングを行っている。生物多様性評価としては伐採樹の萌芽再生、樹木実生出現、林床植生遷移、トウカイコモウセンゴケ群落推移、在来小型哺乳類生息等の調査、環境モニタリングとしては林内微気象(気温・湿度)、土壌環境(地温・土壌水分)を測定している。本報では,概要と活用法を中心に、一部初年度の評価結果についても報告する。


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