| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P3-204

埋土種子除去工法による植生回復比較

塚田隆明,長瀬卓也,水野雄介*(名古屋工業大学・社会工学)

多自然型の河川敷の整備法が昨今注目を浴びている。しかし、その影響について植生の回復と共に植物種、多様性、外来種の影響に着目した研究事例は少ない。そこで本研究では、環境を考慮した工法が本当に「環境によい」といえる結果を出しているのかどうか、矢田川子どもの水辺(愛知県名古屋市北区)と庄内川みずとぴぁ庄内(愛知県清須市)の2ヶ所のビオトープで調査を行い、結果を報告する。後者の調査地については河川敷内に水路が引いてあり、生物多様性を考慮している。調査では、2009年10月から上記2ヶ所の調査地内で代表的な植物群落20ヶ所前後を選定し、コドラート(2m×2m)内の植生調査と、調査地全体のフロラ調査を行った。

その結果、前者はフロラ調査で111種、うち外来種62種、特定外来種2種、後者は105種、うち外来種58種、特定外来種1種が確認された。また2調査地ともに、コドラート内の多様度は高くなるにつれ外来種の出現頻度も高くなる傾向が見られた。どちらの調査地ともに外来種であるアレチハナガサ、シロツメクサが優先種となる傾向が見られた。河川敷内に水路を引いたことにより、構成種の変化について有意な差が認められたが、外来種の割合が高くなった。このことから多自然型川づくりが一概に環境に良く生物多様性の向上に貢献していることにはつながらないことが示唆された。


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