| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P3-240

海岸砂丘草原におけるセイヨウオオマルハナバチと在来マルハナバチの訪花パターン

*西川洋子,島村崇志(北海道環境研)

セイヨウオオマルハナバチの侵入によって、マルハナバチを中心とした送粉系がどのような影響を受けるかを明らかにするため、北海道石狩浜海岸砂丘草原のセイヨウオオマルハナバチの侵入程度が異なる2地域について、主要な海浜植物6種(ハマハタザオ、ハマナス、ハマエンドウ、ハマヒルガオ、クサフジ、コガネギク)の開花状況、マルハナバチ類の訪花頻度、結実率を比較した。セイヨウオオマルハナバチの訪花パターンは、在来種のなかでも短舌種のエゾオオマルハナバチと類似しており、7月にハマナス、9月にコガネギクで多く観察され、6月と8月は観察数が少なかった。一方、より長舌のニセハイイロ(ハイイロ)マルハナバチが多く訪花していたハマエンドウでも訪花が頻繁に観察されるなど、セイヨウオオマルハナバチは比較的多くの植物を餌資源として利用していた。セイヨウオオマルハナバチが多い地域では、少ない地域に比べ在来マルハナバチの観察数が少ない傾向がみられた。しかし、この地域では、ハマエンドウとハマナスの結実率が7月に明らかに高く、この時期はセイヨウオオマルハナバチがこれらの植物の受粉に貢献していることが考えられた。今後セイヨウオオマルハナバチがさらに増加すると、餌資源をめぐる競争の結果、在来マルハナバチの減少傾向が短舌種のエゾオオマルハナバチだけでなくニセハイイロマルハナバチでも加速することが予測される。


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