| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P3-270

台風攪乱後のササ群落が森林生態系炭素循環に果たす役割

*宇都木玄(森総研北),北岡哲(森総研北),飛田博順(森総研北),阪田匡(森総研北),北村兼三(森総研),上村章(森総研北),山野井克己(森総研北),渡辺力(北大・低温)

北海道の森林を特徴付けるものとして、林床のササが重要である。ササの分布面積は、約500万haにおよび、全道の60%、森林面積の89%に相当する。2004年9月の18号台風で札幌近郊の落葉広葉樹林が大きな攪乱被害を受けた。森林総合研究所北海道支所では攪乱後も森林生態系炭素循環の測定を継続し、攪乱直後からササの旺盛な成長を観測している。タワーフラックス観測によると、攪乱の前後でGPPの値は大きく変化しなかった。攪乱以前の閉鎖した林冠下(相対照度で5-8%)では10ton/ha以下であったササ類の現存量は、攪乱後2年間で最大40ton/ha(相対照度60%)まで増加した。各器官の回転率を仮定してNPPを推定すると、それらは上層林冠を形成する樹木と同等であると判断できた。これらのことから、攪乱を受けた上層林冠木のGPPの減少分をササ類が補償している事が示唆された。


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