| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P3-294

桐生水文試験地ヒノキ林における土壌面CO2fluxの時空間変動とその制御要因

*兼光修平(京大院農),小杉緑子(京大院農),牧田直樹(神大院農),檀浦正子(京大院農),金澤瑛(京大院農),大久保晋治郎(北農研),松本一穂(九大院農)

土壌呼吸はこれまでの研究から環境変化、特に地温や土壌水分に反応しやすいことがわかってきた。しかし、地温上昇に伴う土壌呼吸の増加は地温変動のあるサイトで概ね一致しているが、土壌水分との関係はサイトごとで異なる場合が多い。本研究のサイトである桐生水文試験地において、土壌呼吸は、空間的には最も湿潤な斜面下で小さくなる一方で、時間的には土壌の乾燥時に低く、湿潤時に高くなる正の関係をとるという報告がある(三谷ら.2006)。土壌呼吸―水分関係が複雑なのは、根呼吸・分解呼吸を制御する様々な要因がこれに絡んでいるためと考えられ、土壌呼吸の時空間変動を解析する際に考慮する必要がある。本研究ではさらに継続して観測を行い、土壌呼吸の数年にわたる時空間変動を詳細に解析すると共に、土壌呼吸を根呼吸・リター分解呼吸・土壌中分解呼吸に分離し、各地点での寄与をみることで、時空間変動がいかにして形成されているかについての考察を行った。

観測は、滋賀県南部桐生水文試験地のヒノキ林(一部に落葉広葉樹が存在)で行った。2002年から2009年までの期間中計115回、斜面上部から下部にかけて条件の異なる4箇所にプロットを設け、各5点の計20点で観測を実施した。土壌呼吸測定は、赤外線CO2ガスアナライザーを用いた閉鎖循環法により行い、同時に地温と土壌水分も測定した。また2007年10月から3ヶ月毎に土壌を採取し、根量やCN含有量を分析した。2009年7月には、根量を直径別にクラス分けして測定し、同サイトで測定された直径別の単位重量辺りの根呼吸量データ(牧田.未発表)を用いて各プロットにおける根呼吸量とその寄与率を算定した。またリター分解呼吸量も測定し、土壌呼吸を各パーツに分離して解析した。


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