| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P3-307

森林土壌における窒素動態―15Nを用いた窒素形態変化総速度の測定―

米田聡美(京大院・農),徳地直子(京大・フィールド研),大手信人(東大院・農),勝山正則(京大院・農),臼井伸章(京大院・農)

森林土壌において,無機態窒素(アンモニア(NH4+),硝酸(NO3-))は植物や微生物をはじめとする生態系の物質循環に影響を与える重要な養分である.これまで一般に,無機態窒素の生成にはみかけの速度である純無機化速度および純硝化速度で評価がなされてきた.一方,森林土壌の物質循環には微生物の行う不動化のプロセスが大きな役割を果たしているが,純速度の推定では不動化による引き戻し量が考慮できない.調査を行った滋賀県南部に位置する京都大学桐生水文試験地では,マツ枯れに伴う窒素供給量が窒素流出量よりもかなり大きいことや,各水文過程における酸素安定同位体比の測定結果から不動化が生じていることが示唆されている.

そこで本研究では,窒素安定同位体である15Nを用いて不動化のプロセスを考慮した総無機化速度および総硝化速度の推定を行い,純無機化速度・純硝化速度との比較から,不動化量を評価することを目的とした.不動化量を規定する要因を明らかにするため,無機態窒素現存量および微生物の不動化の基質と考えられる溶存態有機炭素および微生物バイオマスの測定を行った.

2009年夏・秋の有機物層(A0層)と無機質土壌(0-10cm)の無機態窒素現存量の結果から,どちらの層位でもアンモニア態窒素が優占し,硝酸態窒素はアンモニア態窒素の10分の1程度以下であった.またどちらの無機態窒素も季節変動がみられたが,変動の傾向は形態によって異なっていた.これらから,硝化の抑制やアンモニアの不動化と硝化の競合,硝化後の不動化などが生じていることが示唆された.


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