| 要旨トップ | ESJ57 自由集会 一覧 | | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨 |
自由集会 W01 -- 3月15日15:00-17:00 D会場
森林は吸収した二酸化炭素をバイオマスプール(幹成長)として主に蓄積するので、成長の速い若い森林の方が炭素シンクとして有効であるとみなされてきた。しかし近年になって、成熟林でもかなりの二酸化炭素を吸収していることが示唆されるようになり(例えばLuyssaert et al. 2008, Nature 455)、枯死木(CWD)や土壌有機物(SOM)などの非生物的炭素プールに多くの炭素が蓄積されるという実証的なデータが増えつつある。今後の森林生態系の炭素循環研究の中では、CWDやSOMなどの非生物的炭素プールの動態の解明が最も重要であるが、そこに係わる生物群の働きやネクロマスの化学的性質など、まだまだ分からないことが多い。今回のMAFESでは、腐植物質の動態解明に挑む土壌化学分野のトップレベルの二人の研究者に、生物地球化学的なプロセスと深く関与する腐植物質について基礎から最先端まで初心者にも分かりやすく解説していただく。川東さんには、土壌有機物・溶存有機物・腐植物質の3者の関係や組成,非腐植物質も含めたそれらの炭素の循環への関わり,その中での收着や安定性などの作用にかかわる話を、藤嶽さんには植物遺体から腐植物質が形成され,腐植化の進行と分解という変遷過程をたどる道筋を化学構造の変遷から話をしていただく。この自由集会において、生態系生態学と土壌化学を繋ぐ、新たな物質循環研究の方向性を模索したい。
土壌腐植は炭素動態にいかに関わるのか
土壌腐植の生成・分解過程はどこまで理解できるのか