| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P2-043

雑草群落および放牧草地群落における種構成のバイオマスからみた空間分布

*佐々木彩,神田洋之,樋渡達哉,山村靖夫,塩見正衛(茨城大・理)

本研究では、雑草群落および放牧草地群落を構成する種の、空間分布の特徴を明らかにすることを目的とした。調査地は、茨城大学構内の雑草群落、および畜産草地研究所那須研究拠点の放牧草地群落に設置した。雑草群落は5月下旬に調査地を耕し、地下栄養体を含む雑草を可能な限り取り除き、そこに10 cm×10 cmの100個の小区画からなる1 m×1 mのコドラートを8つ設置した。初夏から秋まで約3週間ごとに、1つのコドラートの刈取りを行った。放牧草地群落では春と夏に弱放牧区と強放牧区の2ヶ所に50 mのライントランセクトを設置し、そこに50 cm間隔で10 cm×10 cmの小区画を100個設置した。植物は小区画ごとに分けて地際から刈取り、それぞれの種のコドラート内の小区画への出現頻度、出現種数、バイオマスを測定した。

調査期間を通して、雑草群落ではメヒシバ、エノコログサが、放牧草地群落ではシバ、メリケンカルガヤが高い出現頻度とバイオマスを占めた。種の分布パターンは、バイオマスの空間的不均一性を表すパラメータ(ρ)を用いて考えた。ρ(>0)は、0に近いほど高い不均一性を、1のときはランダムな分布を、また1より大きくなればなるほど均一な分布を意味する。種ごとのρと小区画あたりの平均バイオマスは正の関係を示したが、雑草群落のヒメジョオン、放牧草地群落のヒメヤブラン等、バイオマスが小さいにもかかわらず、ランダムに近い分布を示した種もあった。また、種ごとのρと小区画あたりの出現頻度の関係は、指数曲線的な増加傾向を示した。ρ値から得られた100個の小区画における種の空間分布のパターンは、バイオマス、小区画への出現頻度との間で一定の関係を示す傾向が明らかになり、この結果はそれぞれの種の特性を理解する手助けになると考える。


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