| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P2-221

林床へのリター供給量変化に対する土壌動物群集の反応

*南波興之, 丹羽滋, 日浦勉

地球温暖化による森林生態系への様々な影響の一つに植物の生産性への影響が挙げられ、空気中の二酸化炭素濃度や気温の上昇により、植物の生産量が増加することが予測されている。植物の生産が増加すると林床へのリター供給の増加につながる。リターは林床に生息する土壌動物群集にとって餌資源であると同時に住処となっている。そのため、林床へのリター供給が上昇は、栄養源と住処の両方の側面から土壌動物群集へ影響を与えることが予測される。しかし、温暖化におけるリターを介しての土壌動物群集への影響は、ほとんど検証されてこなかった。そこで地球温暖化により地表へのリターの供給量が増加することを想定し、それに対する土壌動物群集の反応を検証するため、北海道大学苫小牧研究林に一辺10mの三角形の調査区を設け、トタン板で区切った閉鎖区と開放区を9プロット設置した。その中でリター倍加区、リター遮断区、コントロール区にわけ、それぞれ3セットずつ(合計18プロット)設置した野外操作実験区を設定した。リターの操作は、2009年の秋期に遮断区のリターを倍加区に移動させ、翌年の土壌動物のリターの量に対する土壌動物群集の反応を検証した。6月、7 月、9 月にピットフォールトラップによる地表徘徊性昆虫類の調査、7月、9月に25cm枠を用い大型土壌動物相の調査などの土壌動物の生息調査をおこない土壌動物の生息数の評価をした。結果、開放区ではリター操作による違いは見られなかったが、閉鎖区において翌年にゴミムシやシデムシがリターの増加に応じて個体数が増加する傾向が現れた一方で、他の分類群では、一定の傾向がみられなかった。そのため、分類群によりリターの増減に対する反応が異なることが考えられた。


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