| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P2-251

水温の変動パタンが魚類の生理コストに与える影響について

*山中裕樹(龍谷大学・理工), 源利文, 高原輝彦, 川端善一郎(地球研)

魚類は状況に応じた行動性体温調節によって自らのコンディションを維持しており、空腹時には代謝による損失量を減らすために平常時よりも低い温度を選択することや、成長段階によって選好温度が変わる事例が知られている。エネルギー的にみると生理的な活動余地量が最大になるように温度を選ぶ行動を繰り返していると言える。

この行動性体温調節を制限されると温度順化コストの増大や、結果としての成長量の低下が起こる可能性がある。琵琶湖においては自然状態であれば日内水温変動幅が10℃以上あるごく浅い岸辺の水域から、ごくわずかの日内変化しか起こらない沖帯まで様々な温度環境が同時に存在しているが、浅い岸辺は埋め立て等によって人為的に改変されやすく、直接的な産卵場所の破壊に加えて選択可能温度幅の縮小による魚類のコンディションへの影響が懸念される。一方で、養殖場等の人工飼育環境では温度選択の余地が無いために経験する温度の大きな変動を避けられず、コンディションに影響すると考えられる。経験温度を自律的に選択できないことがどのように魚類の生理的なコンディションに影響するかを明らかにすることは沿岸部の生息場所の保全や養殖環境の向上に貴重な基礎情報を提供することにつながる。

本研究では様々なパターンの温度変化に伴う魚類の順化コストおよび成長量への影響を明らかにする第一歩として、温度変化の有無で比較を行った。今回はまずキンギョ(Carassius auratus)を用いて15-25℃の日内温度変化を与えた群と20℃で固定した群との間で、代謝量と体重の変化の違いを比較した。代謝量の指標としては酸素消費量を用いて評価した。


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