| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P3-013

琉球列島におけるマングローブ種の分布パターンに影響する要因

*真栄城亮(横国大・院・環境情報),持田幸良(横国大・院・環境情報)

日本には7種のマングローブ植物が生育しており、その生育地のほとんどは琉球列島に存在する。種ごとに生育する島や河川に違いが見られ、広域スケールで考えられる様々な要因に分布が規定されていることが考えられる。そこで本研究では広域スケールでマングローブ種の分布と種組成を把握し、環境要因との対応を検討することで、琉球列島のマングローブ種の分布特性を明らかにすることを目的とした。

既存研究より、琉球列島において確認されている全てのマングローブ生育地の位置と種数を把握した。沖縄県西表島については現地調査を行いデータの補完を行った。マングローブ生育地の地理的な説明変数として、各地域の気象データ(気温・降水量)を気象庁ホームページより取得した。また、GISを用いて集水面積を算出し分布との対応を検討した。

その結果、琉球列島のマングローブ生育地は100地点が確認された。その内訳は南から、宮古・八重山諸島54地点、沖縄島35地点、奄美大島3地点、種子島・屋久島5地点、鹿児島3地点であり、平均気温が高く集水面積の広い場所で種数が増加した。種ごとの分布特性としては、メヒルギとヤエヤマヒルギは、高緯度では集水面積の広い地域にのみに分布しており、気温が低い地域ほどより広いマングローブ生育適地が必要であることが示唆された。

以上の結果から、琉球列島におけるマングローブ種の分布パターンには、気温の他にも集水面積の影響も考慮する必要があることが示された。


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