| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P3-130

印旛沼における珪藻oyobi寄生性ツボカビの季節変動

*大野智弘(東邦大・理),鏡味麻衣子(東邦大・理),小倉久子(千葉県環境研究センター)

湖沼生態系において、多くの植物プランクトンがツボカビに寄生される。しかし、多くの湖沼におけるツボカビの季節変動は未解明なものが多い。そこで本研究では、印旛沼を対象に珪藻とツボカビの季節変動パタンを解析した。

2009年4月~2010年3月の間、月2回湖水を採取した。植物プランクトンの密度と死細胞率、ツボカビの寄生率と胞子体密度を計数した。優占種である珪藻Aulacoseira ambiguaA. granulataSynedra acusにツボカビが多く寄生することが確認された。しかし、寄生率は最大7.9%と低く、死細胞率も平均20%と低いことから、Aulacoseira属の2種はツボカビの影響をあまり受けていないと推測された。一方、冬季に優占種となるS. acusは寄生率が最大で32%と高く、ツボカビの影響を受け、個体数が減少する推測された。

ツボカビ胞子体数は珪藻の増減と同調する傾向を示し、ツボカビの個体数は珪藻の密度に大きく制限を受けていると推測された。胞子体の形や変動パタンは珪藻によって異なった。感染実験により、A. granulataに寄生するツボカビは、A. ambiguaには寄生しないことが確認され、Aulacoseira属の2種に寄生するツボカビは別種であると推察された。


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