| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨


企画集会 T16-1

外来生物法の見直しの論点

村上興正(京都精華大)

外来生物法は、生態系や人に係る被害を防止するために、とくに悪影響のおそれが強い動植物を特定外来生物や未判定外来生物に指定し、その管理を定めた法律である。また、法律以外の運用として悪影響を及ぼすおそれの強いものなどを要注意外来生物として、指定することで一般の人の注意喚起を行っている。防除に関しては、防除の主体に応じて、公示、認定、確認等の手続きは規定しているが、防除の項目を定めているだけで実施内容については規定していない。このために侵略的外来種の管理においては多くの課題がある。以下に論点を列記する。

1.導入の阻止

1.1.意図的導入—指定状況の検討と指定の効果

特定外来生物の指定状況は妥当か

未判定外来生物の指定はどうか

要注意外来生物の現況

種類名証明書の効果

輸出入の禁止・移動の禁止・遺棄の禁止・逸出の防止

飼育・栽培の禁止と野外への放逐の禁止(撒く、植える、放つ)

1.2.非意図的導入 —侵入経路の特定と規制

1.2.水際対策は妥当か:税関での対応

2.早期発見と早期対策

早期発見システムとその後の早期対策のシステムはできているのか

3.定着後の侵略的外来種の管理

制御と根絶—防除事業の進展

目標設定の妥当性:複数種の選択と優先順位の決定 駆除事業の場所

優先度順位の決定 排除手段の妥当性と技術開発、混獲の防止 

捕獲の効果確認:対象種の減少と被害の軽減並びに在来生態系の復活

防除の振興:排除の障害要因の解析 意識啓発 防除の役割分担 

予算・人材の確保


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