| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨


企画集会 T16-9

外来生物関連法の見直しと社会的合意のあり方

草刈秀紀(WWFジャパン)

外来生物法が施行されて5年が経過し、5年後の見直しが検討されている。

法律の名称が「特定外来生物」とあるように、明らかに侵略性のある外来生物を指定して防除、根絶する仕組みとなっており、日本は、ダーティーリスト形式を選択している。第一条の目的条項に明記してある通り「この法律は、特定外来生物の飼養、栽培、保管又は運搬、輸入の取扱いを規制する~」とされてあり、指定されると、その行為の全てが規制される。本法の問題点は、例えるならば、輸入規制対象種と言う、個別の問題に対する指定ができないところにある。

本法の制定根拠となっている生物多様性条約では、そのテーマの一つとして侵略的外来種があり、各メインテーマを貫く横断的な問題として扱われている。外来生物法を始め関連法の見直しを考えた場合、鳥獣保護法、自然公園法や環境教育推進法などの改正だけではなく、他省庁の関係法令の改正も必要である。昨年の臨時国会で成立した生物多様性保全活動促進法も外来生物防除の一つのツールとして捉える必要がある。

外来生物の指定や防除、輸入規制など社会的な合意を得るためには、共通の認識が必要であり、学校教育や社会教育が不可欠である。外来生物法第28条に国民の理解の増進として、教育活動、広報活動を通じて、特定外来生物の防除に関し、国民の理解を深めることが求められ、また、生物多様性基本法では、第24条の国民の理解の増進において、学校教育、社会教育における生物の多様性に関する教育の推進、人材の育成、広報活動の措置をするよう求めている。

更には、2010年10月のCBD-COP10におけるポスト2010年目標で、侵略的外来種とその定着経路が特定され、優先度の高い種が制御・根絶され、侵略的外来種の導入・定着を防止する対策が193カ国の国際社会の合意とされている。早急に社会的合意として位置づけるべきである。


日本生態学会