| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨
ESJ59/EAFES5 Abstract


一般講演(口頭発表) B1-04 (Oral presentation)

北海道におけるエゾマツの球果および種子形態の地理的変異

*生方正俊(森林総研・林育セ),田村明,阿部正信,上田雄介,山田浩雄(森林総研・林育セ北海道)

エゾマツ(Picea jezoensis)は、北海道、サハリン、千島列島に広く天然分布し、北海道では針広混交林を構成する主要な針葉樹である。しかし、造林対象樹種からはずれていたために形態的な形質や遺伝マーカーによる地理的変異の研究は、ほとんど行われてこなかった。近年になり、天然林のエゾマツ資源の劣化が指摘され、資源回復に向けた様々な取り組みが行われるようになってきており、発表者らは、地理的変異の研究や人工造林に関係する各種技術開発に取り組んでいる。エゾマツ天然林の保存方策や人工造林の種苗の配布区域を策定する際には、地理的な遺伝変異に関する情報が必要である。本研究では、エゾマツの地理的変異を解明する研究の一環として、北海道内の天然分布域全域から15集団を選定し、集団ごとにそれぞれ10個体から採取した球果と種子の形態を調査した。各個体それぞれ20個の球果について、球果サイズ(長径、短径)、乾燥重および種鱗数を計測した。また種子については、長径、短径および翼長を計測した。球果の長径は、平均55mm(標準偏差±6.2mm)、最大82mm、最小32mmであり、ばらつきが大きかった。分散分析の結果、個体間には有意な差が検出された(P<0.001)が、集団間には有意差が検出されなかった。エゾマツ天然集団は、様々な球果サイズを持つ個体で構成されていることが示唆された。


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