| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨
ESJ59/EAFES5 Abstract


一般講演(口頭発表) G1-01 (Oral presentation)

沖縄島におけるメダカ類の分布変遷

嶋津信彦

メダカ類とは、ここではメダカ科とカダヤシ科に属する魚類を指す。沖縄島に分布するメダカ類は、沖縄県指定絶滅危惧種のメダカOryzias latipes、以下外来魚のカダヤシGambusia affinis、グッピーPoecilia reticulata、コクチモーリーP. sphenops、ソードテールXiphophorus hellerii、およびプラティX. maculatusの計6種である。本研究では、文献・現地調査により同島でのこれらの分布変遷を明らかにした。

文献調査では、地域誌など35報からメダカ類の分布記録を抽出した。現地調査では、2010、2011年に326水系延べ流程385 kmを踏査し、潜水目視やタモ網などでの採集により分布を確認した。

過去に分布が報告・調査された水系数は、メダカでは87、同外来魚5種では260(現地調査対象外5含む)であった。文献調査、現地調査、および両調査で分布が認められた水系数は、各々メダカでは17、11、25、カダヤシでは31、29、48、グッピーでは106、132、153、コクチモーリーでは0、1、1、ソードテールでは8、22、24、プラティでは3、2、4であった。初記録年(複数年調査によるものでは初年)、それ以降の分布発見頻度(水系/年)、および現地調査で分布が再認された率(%)は、各々カダヤシでは1935、0.62、38.7、グッピーでは1973、3.92、80.2、ソードテールでは1988、1.00、75.0、プラティでは1986、0.14、33.3であった。

メダカはかつて広域に分布していたが減少し、同島での絶滅も危惧される。カダヤシは、中・南部に広く導入されたが、定着できなかった個体群も多いようである。グッピーは、島全域に分布し、現在も高頻度で導入されている可能性がある。ソードテールは、北・中部で新分布が多数確認され、限定的な分布であるコクチモーリーやプラティとともに、定着・分布拡大が監視・警告される必要がある。


日本生態学会