| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨
ESJ59/EAFES5 Abstract


一般講演(口頭発表) G1-06 (Oral presentation)

西日本におけるミシシッピアカミミガメの分布拡大の様相

*亀崎直樹,谷口真理(須磨水)

沖縄島から静岡県牧之原市にかけての西日本の池283ヶ所、川135ヶ所の合計418調査地で延べ1305個のトラップを仕掛け、ミシシッピアカミミガメ(以下、アカミミガメ):1199個体、クサガメ:1087個体、ニホンイシガメ(以下、イシガメ):338個体を捕獲した。棲息密度を1トラップあたりの捕獲数(CPT)とし、調査地別に求めた。その結果、CPTはアカミミガメで0.91±2.4(0-23.7)、クサガメで0.78±1.9(0-15.3)、イシガメで0.33±1.3(0-17.0)で、アカミミガメが最も高い頻度で捕獲された。アカミミガメの密度をCPT で2以上の高密度区、2未満1以上の中密度区、1未満の低密度区、0の未確認区に分けると、高密度区:40ヶ所(10.6%)、中密度区:28ヶ所(7.4%)、低密度:39ヶ所(10.3%)、未確認区271ヶ所(71.7%)であった。高密度区が確認されたのは沖縄島、沖永良部島、筑紫平野、四国南西部、四国北東部、兵庫南部、淡路島、奈良、三重、静岡に渡り、西日本全域に分布が拡大していることが確認された。しかし、種子島や四国南東部においては確認することはできなかった。一方、より細かいスケールでの分布拡大の様相を知るために、最も調査密度の高い兵庫南部について分析を行った。この地域では86ヶ所の池、9ヶ所の川の計95ヶ所で、高密度区は27ヶ所(28.4%)、中密度区が14ヶ所(14.7%)、低密度区が16ヶ所(16.8%)、未確認区が38ヶ所(40.0%)で、西日本全域と比べアカミミガメの密度は高かった。ただ、相生以西の調査地14ヶ所すべてで確認できず、まだ侵入していない地区があることが分かった。本種は西日本全体に分布を広げているが、自然にその分布が広がったのではなく、人為的な要因で分布の拡大が起こっていると考えられた。


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