| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨
ESJ59/EAFES5 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-114J (Poster presentation)

都市公園の里山管理による市民の意識変化~市民団体と指定管理者の関係に着目して~

*伊藤邦泰(明大院・農),倉本宣(明大・農)

2003年、指定管理者制度が導入され公の施設を、株式会社をはじめとした営利企業、NPO法人、任意団体、財団法人も管理できるようになった。これにより里山型の公園においては、従来の里山管理とは異なる形の、市民と協力した里山づくりが必要とさている。そこで本研究では、この制度が導入された公園を対象とし、指定管理者が今後、里山管理に関わる市民活動をサポートしていくための基礎的知見を集めることを目的とした。

調査対象地は関東にある都市公園4カ所を対象とした。各公園の特徴として、A公園は丘陵地にできた谷戸の環境を残した2.8haの公園である。B公園、C公園も同様に丘陵地を保全して造った公園で谷戸田も含む。面積はそれぞれ20ha、29haとなっている。D公園は埋立地に造成された公園で24.9haの広さがある。園内には河川の中流から下流までが再現されており、雑木林、ため池、田んぼ、畑といった生態系以外に干潟が再現されている。

各公園の市民の活動開始方法は異なっており、大きく分けると管理者と市民が独立しているタイプ(B公園、D公園)と管理者が園内で活動する市民を募集するタイプであった(A公園、C公園)。

これら市民の活動開始方法の違いに対応して、里山管理の方法には各公園で特徴がみられた。B、D公園では管理者と市民団体がそれぞれ独立しているため、里山管理計画を進めていくうえで団体間の合意形成及び、合意項目の団体内の周知、が大変重要な課題となっており、その点を意識した運営が行われていた。それに対してA、C公園は、管理者が活動している市民の意見を取り入れて合意形成を行う、という点に意識が割かれ、工夫が行われていた。


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